「母親」と「働くこと」、悩むママさんへ

 母親であることと、働くこと。

私はこの壁にぶち当たって、けっこう失敗してきました。

もっと具体的にいうと、幼少期から私の中にしみついた、良妻賢母像がそうさせていました。


私の中の良妻賢母像とは、

夫をたて、家事・育児を全てやり、常に家族に優しく思いやりを持って、家族に尽くすことを生きがいとするような女性。


だから、このように振舞わなければいけないと思っていたのでした。


子どもの頃

昭和に子ども時代を過ごした私は、そんな固定観念のシャワーを日々浴びていたように思います。


テレビドラマやアニメで観る、良しとされる母親像と言えばそんな感じで、我が家でも家事・育児は祖母や母がやり、親戚の家でも同じ。

子どもの頃からそれが当たり前でした。

また、祖母は畑仕事もするし、母にいたっては、外に働きに出て夜勤もこなしていました(今思うと祖母も母も、すごいなと思います)。


私は「女の子だから」という理由で、洗濯物を畳んだり、夕食のお皿を出したりとお手伝いをし、一方で弟はそういうことは求められず、家事は女性のやることだという認識が自然とついていました。


祖父や父については、家事・育児をしているのを見たことはなく、それも私にとって普通でした。

ふたりは、座ってテレビを観たりお酒を飲んだりして、ご飯ができるのを待っていました。

当時は「24時間戦えますか、ビジネスマ~ン」というCMの曲が流行っていたりしたので、男性は男性で、長時間労働が当たり前で、家ではゆっくりして、外で仕事をめちゃくちゃ頑張る、そういう時代だったのだろうと認識しています。

実際父は、朝早くから夜遅くまで会社で働き、顔を合わせることも話すことも、あまりありませんでした。


こういう環境が私の普通だったので、高校生の頃、友人の家では父親がご飯を作ると聞いて、父親と料理が結びつかな過ぎて、とても驚いたのを今でも覚えています。


だからといって、当時がダメだとか、祖父や父がダメだとか、そんなことを思っているわけではありません。

そういう時代で、家族みんなそれが普通と思い、なんの悪気もなく行動していただけです。

また、私と同じ環境で育ったからといって、私と同じような感覚になるわけでもありません。

ただ私にとっては、この”普通”が、大人になり、母親になった私に、しんどい思いをさせていました。


結婚してから

結婚後、家事はおおむね私が担っていましたが、何の疑問も持ちませんでした。

夫は多忙で出張も多かったので、私の方では無理のない仕事を選択し、家事をしたり、夫にスケジュールを合わせられるようにしました。

夫が家で快適で過ごせるよう、料理を張り切ってみたり、掃除もちゃんとしたり。

もちろん愛情からくる行動ではありましたが、今思えば、この頃すでに「妻は夫に尽くすべき」という”良妻”部分の固定観念が顔を出していました。


母親になってから

いよいよ私が苦しくなったのは、子どもが産まれてからでした。


「育児も全て自分がしなければいけない」という”賢母”部分が加わり、更には時代とともに「女性も働き社会進出するべきだ」という、新たな固定観念も追加して、”私はどちらも達成しなければいけない”と思い込みました。


保育園に子どもを預けていたので、周りには同じようなママ達がいて、それが当たり前なのだと思っていました。


こうして私は上の2つの固定観念のもと、ワンオペ・フルタイム・ワーママという環境設定を自分に課したのでした。

会社では、のんびりと仕事をし、家では奥さんが何もかもしてくれるおじさん社員を横目にみては「何かがおかしい」と思いながら、いつ保育園から電話がかかってくるかもしれないと、仕事に穴をあけない様に気を遣い、仕事が終わると急いでお迎えに行き、帰宅後は慌ただしく家事と育児をこなしました。


結論からいうと、この環境設定はするべきではありませんでした。

毎日余裕がなく、心身共に疲れ果て、自分の心と身体にも、家族に対しても、良い影響を及ぼしませんでした。

更には、子どもが成長し手がかからなくなってきた今でも、当時の苦しさの記憶はふと蘇り、私に様々な負の感情をもたらすのです。


今、考えていること

日本では依然として、女性が家事・育児を多く担い、そのために女性の社会進出が進んでおらず、それが女性の立場を弱いままにしている、そういう現状はやはりあると思います。


ただ、そこに怒っても嘆いても、自分の心がそんな負の感情で埋め尽くされるのは、私自身が快適ではありません。


また私は、夫vs妻という対立を生みたいわけでもなく(それも結局、負の感情で自分がしんどいだけ)、夫婦がお互い思いやり協力する、そういう関係が快適で私自身も、気分がいいと思うのです。


だから、女性の置かれた現状はあるにはあれど、それに固執せず、自分のやりたいように自分の道を進む、それが快適で楽な道なのではないかと思っています(幸いにも、昔より働き方の選択肢は増えていますし)。


だからまずは、女性自身が、自分のネガティブな固定観念を手放すこと。

そうすることで考え方が変わり、自然と自分の行動が変わり、しいては人生も変えていける。


そうしていきたい、そして、子どもにも、私が子がどもの頃にあった固定観念は持たないようにしてあげたい、そう考えているところです。

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